2018年02月15日

悪魔の涙

「悪魔の涙」
 ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫刊

元FBIの筆跡鑑定士がテロ捜査に協力する話なので、脅迫状の分析が重要になって、これを日本語に訳すのは大変だったろうなv
英語の言葉遣いが、移民っぽいとか、つづりが間違ってるとか、脅迫状の文面(手書き。筆記体)の絵もついているんだけど、英語がわからない人だと今いちぴんとこないだろうし。

相変わらずのどんでん返しの連続で、うまくだまされた。
でもあの結末はちょっと強引かなあ。
あの人が半年も潜伏してたのも、そんなの可能だろうかという気がするし。
posted by ちー at 23:45| ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月02日

コフィン・ダンサー

「コフィン・ダンサー」
 ジェフリー・ディーヴァー著 文藝春秋刊

リンカーン&サックスのシリーズ2作目。

これは〜〜〜vv
いや、相変わらずのどんでん返しの連続で、ストーリーテラーなのは認めるが、いかんせん、人が死にすぎ。
しかも、犬死にv

逮捕された武器商人が、自家用飛行機で証拠物件を海に投棄したのを目撃した三人、証言させたい検察側。
でも、その目撃ってのも、夜中に自家用飛行機を使うところを見ただけなので、その証言で有罪にできるか、あやふや。
しかし武器商人が雇った暗殺屋が、目撃者たちを狙う。

目撃者は同じ飛行機会社の経営者やパイロットで、経営が危ういところ、新規の取引先を本契約にしようとしていて、何が何でも仕事に穴をあけられない。
だから、証人保護施設で、裁判まで匿ってもらっている場合じゃない。
仕事にいかねばならないと意地を張る。
外出して狙われる。
かばって警官たちに被害が出る。
いやもう、証言のための取引として、会社の資金繰りをなんとかしろと検察に条件だして、保護施設でじっとしてろよ#
有罪に持ち込めるかも定かでない証言をさせるための証人、どんどん殺される犬死にの警官たち。
なんで、すっごいやな感じ。
証人が死者続出にまるで頓着してないのが〜vv
「だって仕事に行かなきゃ、会社がつぶれるのよ!」
え〜v警官たちは仕事で殺されてるんですけど〜〜〜vv

犬死にした警官たちの遺族はどうなるんだとか、やっぱり考えてしまう。
もうちょっと死なない展開でも、話に支障はなかったろうし。
posted by ちー at 21:36| ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月26日

七王国の騎士

「七王国の騎士」
 ジョージ・R・R・マーティン著 早川書房刊

「氷と炎の歌」シリーズの、本編の百年ほど前、中編集。
灌木の下などで野宿をしながら暮らす騎士、通称草伏しの騎士の放浪記。
魔法はほぼ出てこないので、中世騎士物語っぽい。
マーティンなので、いい人はどんどん死ぬ。
posted by ちー at 21:02| ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月15日

ボーン・コレクター

「ボーン・コレクター」
 ジェフリー・ディーヴァー著 文藝春秋刊

著者の出世作。
デンゼル・ワシントン主演で映画化もされているが、著者は出来に不満だったらしい。
まあ、白人の役なのに、ハリウッドの大人の事情で黒人が演じているのもナニなのかも。

首から下がマヒした安楽椅子探偵と、女性警官が反発しあいながら事件を解決する話。
ぎりぎりまでどんでん返しの連続で、心地よく振り回された。
でもあのラストは、可能なのか?
と、ちょっと思った。
映画化したら、絵にはなるのか・・・?コワイけど。

好評のため、シリーズ化したそうで、続きも読んでみる。
posted by ちー at 23:05| ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月09日

ソロモンの偽証 1〜3部

「ソロモンの偽証 第一部 事件」
「ソロモンの偽証 第二部 決意」
「ソロモンの偽証 第三部 事件」
 宮部みゆき著 新潮社刊

不登校だった男子中学生が、クリスマスの夜、学校の屋上から転落死した。
自殺として処理されたが、校内の不良学生が殺したとする告発文書が校長などに届き、一部がマスコミに漏れて大騒ぎになる。
生徒たちが自分たちで真実を見つけようと、陪審員制の裁判を始める。

宮部さんなんで、ミステリーだと思って読み始めたんだが、群像劇的な小説だった。
「このミステリーがすごい」というのに選ばれていたと聞いて、えっ?と思った。
え?これ、ミステリーじゃないよ。
謎とか、いうほどのものはないし。
人間の心情のあれこれを描いた小説だと思う。
純文学寄りで、ミステリー要素も入れた感じ。
あの子が関わっていたのだろうというのも、早々にわかるし、あの子が決定的な証言をするのも、「え?その程度の事情?」って感じだし。
深読みしたらきりがないので、実は、というのは読者の感想に任せますということかもしれないけれど。
物証はほとんどなくて、証言だけで事件を説明するのも、ミステリーじゃない。
そもそもタイトルに「偽証」とあるので、どれが偽証であってもおかしくない。
でもそうしたら、ますますミステリーじゃないと思う。

辞書並みの厚さのハードカバー三冊、はっきり言って、長すぎる。
学校が舞台で、生徒たちがたくさん出てくるため、一人一人の描写がある程度必要になるのはわかるのだが、この長さだと一気に読めなくて、後半は生徒たちのいろんな事情がすっかり飛んでしまってた。
そして、主人公は一応、女の子だと思っていたら、エピローグが男の子の方になってて、え?な感じ。
もうちょい、枝葉を切り詰めて、ポイントを絞ってもよかったんじゃあ。
あと、こう言っては申し訳ないが、宮部みゆきさんが中学生をメインに書くのは無理があるんだと思う。
時代劇を書いているのもあって、時代劇っぽい言葉遣いがぽろぽろ出てくるし。
時代劇好きの祖父母と仲のいい中学生たちだらけじゃないと、こんな言葉遣いにならないよ。
宮部みゆきさんの小説は総じて面白いが、これはちょっと、いろんな違和感が。

本書は前後編で映画化されていて、こちらではかなり絞り込まれていた。
設定がかなり変更されていて、主人公は女の子になっていた。
うん、この方がわかりやすい。
ただ、映画の時間が限られていることがあって、転落死した男の子がものすごく単純なキャラクターになってしまっていたのがもったいない。
この男の子の役を演じた子がいい演技をしていて、原作よりの複雑なキャラクターっぽかったのもあって、本当にもったいなかった。
それと裁判結果が突き放したような感じなのも気になった。
これ、解決じゃないよねv
あと、私は原作を読んでから見たからわかったけど、映画のシーンで現在と過去がごちゃごちゃに出てくるので、映画だけ見た人は混乱したかもしれない。
posted by ちー at 23:50| 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月27日

青い虚空

「青い虚空」
 ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫刊

サイバーミステリー。
超優秀なハッカーたちの頭脳戦なので、PC用語、ネット用語がバンバン出てきて、門外漢には今いちな部分もあるが、巻頭に用語説明もあり、文中に現れるコードとかは雰囲気だけ感じ取って、流してもいい。

メインキャラだと思ったあの人が、早々に死んでしまい、びっくり。
ただその人の死で、あとの緊迫感が生まれるので、演出として仕方なかったか。
あの人も、あの人も、疑ってしまい、犯人の相棒の正体が、・・・だったのは、あの人も、あの人も、疑って悪かったvv
というくらい、二転三転、容疑者が変わっていく。
posted by ちー at 19:55| ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

そして山々はこだました

「そして山々はこだました 上下」
 カーレド・ホッセイニ著 早川書房刊

アフガニスタンの激動の時代のお話。
貧乏ゆえに離されてしまった兄と妹。
最初はなかなか世界に入っていけなかったけれど、段々引き込まれていった。

この作家は、人の心の弱さとか、醜さとか、影の部分を描きつつも、よき人間であろうとする姿を描くのが上手いと思う。
このまま20年くらい同じレベルの作品を発表していたら、ノーベル文学賞とりそうだなーと思う。
posted by ちー at 19:59| 外国文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月18日

カイトランナー

「カイトランナー」
 カーレド・ホッセイニ著 アーティストハウスパブリッシャーズ刊

後にハヤカワepiから、「君のためなら千回でも」と改題されて発売されているが、本書がアフガニスタン系アメリカ人著者のデビュー作。
確かに、「カイトランナー」ってなんぞや?って思うので、改題の方がキャッチーだと思う。

アフガニスタンには凧合戦というのがあって、凧糸にガラス粉末を練りこんで、他の凧の糸を切るのだそうだ。
何かで映像を見たことがある。
糸を切られて、落下した凧は、一番最初に拾った人のものになるので、それを追いかけるのがカイトランナーだとか。

主人公はアフガニスタンで裕福な父子家庭のパシュトゥン人(多数派)、召使いのハザラ人(少数派)父子が敷地内の小屋に住んでいて、子供同士は幼馴染みとして育った。
凧合戦をするのは主人公で、ハザラ人の子は凧拾いが得意。
主人公が落とした凧を、
「君のためなら千回でも!」
ハザラ人の子が拾いに行く。
階級とか、民族とかが二人の間には歴然とあって、その違いを超えるような絆はない。

主人公は母親が産後の肥立ちが悪くて亡くなり、父親と二人で育ったので、父親の愛情を渇望しているのだが、自分が父親の期待に沿えずにいることで苦しんでいる。

幼馴染み、父子の関係を描きながら、アフガニスタンの激動の時代が進む。

何もかもがめでたしめでたしになるわけではない、現実のアフガニスタンを思うと、リアルよりはいくらか救いのある結末。
posted by ちー at 20:18| 外国文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月07日

獣たちの庭園

「獣たちの庭園」
 ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫刊

第二次大戦前、ベルリンオリンピックに参加するアメリカ選手団に記者が一人同行していた。
実は彼は殺し屋、アメリカ要人に雇われて、ナチスの重要メンバーの一人を公衆の面前で殺すよう依頼されていた。

最初は読みにくく感じたし、もし「クリスマスプレゼント」を先に読んでいなかったら、途中でやめたかもしれない。
でも「クリスマスプレゼント」の作者が面白くないものを書くとは思えなかったので、信じて読み続けていると面白くなってきた。
裏切られたり、どんでん返しがあったり、ハラハラしながら読み進めて、ラストは、ああ、なのかvv
意外だけど、それはそれでいいのかv
posted by ちー at 01:15| ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月30日

千の輝く太陽

「千の輝く太陽」
 カーレド・ホッセイニ著 早川書房刊

アフガニスタン出身で、15歳のときアメリカに亡命した著者による、アフガニスタン女性の物語。
王制廃止、ソ連侵攻、内戦、タリバン支配と動く歴史の中の女性二人が出会う。
最後の一文で泣かされた。

アフガニスタンは死が身近にある期間が長い。
革命から始まる国の困難で、家族や友人を亡くしていない人がいないという異常な情況が怖い。
あまりに死に慣れてしまっている。

そんな状況なのに、女性は教育も仕事も与えられていない、爪も牙も抜かれて、抵抗する術をもっていない。
ただただ虐げられ、耐えるしかない。
イスラムでは女性は男性の保護を受けているからいいのだ、というのだが、まともな男性と暮している女性はいいとして(一夫多妻も、妻数人で家事育児を分担するからラク、とか、貧乏な男の唯一の妻より、裕福な男の第四婦人になった方が金銭的に困らないし、子供を死なせずに育てられるという意見もある)、良識のない男性のもとにいる女性は全く救われない。
イスラム圏って、女性の人権は、男性の気分次第なんだよな。
男性の道徳頼みで、でも道徳をきちんと守る人ばかりではないので、法的な女性保護とか、それを男性が怠った場合の罰則とかが必要なのに、ない。
そもそも、コーランに書いてあることを全てきちんと守っている男性はほとんどいないのに、コーランをたてに女性の生きる術を奪っているのはどうなのか。
男は戒律を守らなくても、なあなあですまされるのに、女は許されない、ダブルスタンダード。

国の混乱状態に、何も抵抗できないとは、アフガニスタンの女性は辛すぎる。
先に読んだ闘う日本の女性兵士みたいな選択肢がまるでない。
こんな状況なら女性だって闘うしかない。
なのに闘うことを責められるとは。

本書のような小説を、イスラム女性自身は書けない。
アフガニスタンの女性小説家が、アフガニスタン国内で、出る日が来るといいのだが。

ところで、アフガニスタンは東日本大震災の時に、(確か)約三千万円を出してくれた。
物価の違いを考えると、アフガニスタンにとって、とんでもない額だ。
正直に言うと、同じ三千万でもアフガニスタンで使った方がはるかに有意義になるんじゃないかと思ったが、「我々は貧乏だが、日本を思う気持ちとして出したい」とのことだった。
日本はずっとアフガニスタンを支援してくれた、その返礼なのだ、と。
少し前だが、日本の江戸時代の治水技術を使って、アフガニスタンの労働力で、戦禍で荒れ、砂漠化した土地に10年かけて緑を取り戻した話が、ガンベリ砂漠の奇跡として世界に伝えられていた。
江戸時代の技術なので重機が必要なく、現地アフガニスタンの人々を雇うことで失業対策になり、自分たちで作ったものは大切にする、メンテナンスができるという余録もついて(もちろん、治水のおかげで、農業ができるようになり、難民たちが帰ってきた)、日本の民間団体の支援が称賛されていた。
日本とアフガニスタンとの間に、善意の循環が続くといいと思う。
posted by ちー at 23:21| 外国文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする